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母乳についての補足1

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少し長いので興味がある方でお時間がある時に読んで頂けたらと思います。

 

前回の母乳に関する記事への頂いたコメントを拝見して、
誤解があるようですので
もう一度、整理します。

1 アルコール、タバコ、薬
2 食物アレルギー
3 母乳の味、質、その他

 

まず、1についてです。

各自治体発行の母子手帳をご覧になって下さい。
最新のガイドラインが示されています。
これに関しては、ネットの情報などに振り回されず母子手帳が基本だと思ってください。
基本的にアルコール、タバコは摂取しない。
薬は自己判断せずに主治医に確認と記述があると思います。

米国小児科学会の見解ではワイン2杯程度のアルコールを摂取した場合
最低2時間あければ問題ないという記述もありますが、アルコールの代謝には個人差もありますし、アルコールが好きな方は
一度飲み始めると自己管理が難しくなる事も多いので、私は母子手帳通り摂取を控える方がいいと考えています。


 

次に、2の食物アレルギーについてです。
乳児の食物アレルギーは3分類できます。

A 乳児消化管アレルギー(粉ミルク)
B 食物アレルギー由来のアトピー性皮膚炎 (鶏卵、牛乳、小麦、大豆など)
C アナフィラキシーや蕁麻疹など即時型  症状(鶏卵、牛乳、小麦、大豆、そば、魚類、ピーナッツなど)

 

まず、Aは、主に粉ミルクによる乳児消化管アレルギーです。
血便、嘔吐などの症状で、まれに米、大豆、母乳でもおこりますが、大半は粉ミルクとされます。

一般的なアレルギーとは違い、判定に特異的IgE抗体は必要とされず、また、症状も様々で、検査から治療まで非常に難易度の高い症状です。


成育医療センターにおける発症率から概算すると、
年間に 1000 名程度の患者が新たに発症しており、とても珍しいアレルギーです。


この症状を取り上げ、粉ミルクは悪いという極論が横行していますが、筋違いといえます。
多くは成長とともに改善されると言われているので、安心して専門医の診断と指導、治療を受けて下さい。

 

次にBの食物アレルギー由来のアトピー性皮膚炎です。
アナフィラキシーや蕁麻疹などの即時型症状と同時に起こる事もあるのですが、
分けて考えるのが正しいとされ
B、C合わせて乳児の5~
10パーセントがかかると言われています。

 

こちらも、小児科医による問診を経て、
医師にスキンケア指導、薬物療法を受けます。
それでも、症状が治らない場合は疑いのある食物の特異的
IgE抗体検査(血液検査をします。
陽性であれば、陽性抗原が
2つ以下、例えば鶏卵、小麦だけの場合は1~2週間の鶏卵、小麦を除いた除去試験を行います。
母子の栄養状態を損ねるリスクもありますので、厳重な医師の指導のもと行う必要があります。
それでも改善されない場合や抗原が3つ以上の場合は、アレルギー専門医の医師へ紹介され、食物除去と負荷試験を行い治療します。

 

とても、コントロールが難しい治療なので、患者さんの自己判断などは危険です。
ただ、多くは成長とともに改善されますので、小児科医、専門医の受診をもって、治療されて下さい。

 

次に3のアナフィラキシーや蕁麻疹などの即時型症状は、食べてからすぐにショック状態(呼吸困難、嘔吐)や全身の蕁麻疹に陥る状態です。
すぐに、小児科に行ったり、呼吸困難、痙攣など重篤な場合は救急で素早く搬送されることが必要です。
遺伝的要素が強いので、
119番に連絡する時、食べたもの、両親のアレルギーについて知らせるといいでしょう。

 
参考 
食物アレルギー緊急時対応マニュアル/東京都アレルギー疾患対策検討委員http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2013/07/DATA/20n7o400.pdf



厚生労働省の人口動態統計の集計によると、
日本でのアナフィラキシーによる年間死亡者数は2011年に71名となりました。
人口換算すると死亡に至るケーは、1/180万人であり、多くは誤接種によるものなので、過剰になる必要はありません。

 
治療法は食物アレルギー由来のアトピー性皮膚炎と同じく問診、特異的IgE抗体検査(血液検査)をします。
鶏卵、牛乳、小麦、大豆を原因とする場合の多くが治療と成長により治ります。
しかし、それ以外の甲殻類、魚類、果物類、そば、ピーナッツなどは治りにくいと言われています。

 

これも、小児科医、アレルギー専門医の厳密な指導のもと治療されるべきものです。

 

 

次に続きます。


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